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2006/09/27

1年目の秋学期(その8)

ここ数日は雨模様が続いたりしましたが、爽やかに晴れ上がった青い空を見ると、懐かしい“カロライナ・ブルー”を思い出させてくれます。
Wake Forest Univ. School of Law に留学中だったと思うのですが、“October Sky(邦題「遠い空の向こうに」・1999年)”という映画を観に行った記憶があります。映画の舞台はノースカロライナではないのですが、そこでしばしば映し出されるその空は将にノースカロライナで毎日拝んでいたその空と一緒だったというイメージが残っています。こんな感じです(Deacon Family のメンバーであるfkittyさんのブログから拝借しました)。そして、これが黄昏時になると、その夕陽と紫雲が絶妙なコントラストをかもし出します。秋の「紅葉狩り」の帰途、グレート・スモーキー・マウンテンに沈みゆく夕陽は圧巻でした…(遠い目)。

さてさて、“旧き良き”思い出はこの辺にして、久々に本編に戻りましょう。そう、LL.M.留学1年目の秋学期、最初の学期末試験のお話でしたね。

先日のエントリでは“Contracts I”の試験対策と日本語書籍の利用についてお話しましたので、実際の試験とその他の科目について、お話してみましょう。最終授業の数回前から1学期のまとめが行われ、試験対策に関するお話が教授がなされました。更に、希望者には補習も行うということとなり、Deaconも同じLL.M.留学生であるアジズ2号(サウジアラビア)と一緒に受講しました。基本的に、例の書籍とアンチョコのお陰で主な論点はほぼ網羅できていましたし、頭の中では(日本語では)理解できているとの感触がありました。問題は「英語で答案を書く」ということ。Contracts I に関して言えば“Closed”と呼ばれる一切テキストやノートの持込が禁止されるテスト形式でしたから、余計に心配でした。そんな類のテストと言えば、僅かにTOEFLの2ヶ月に1度くらいの割合で施行されていたWritingのテスト(TWE)経験だけですから…。あれも、たかだか30分程度の時間でしたしね。えぇ、それでも、そのテストがある時はオタオタしたくらいのレベルですから、DeaconがこのContracts I のテストを恐れることは筆致に尽くし難いものがありました。ただ、幸いなことに、LL.M.留学生に限り、「辞書持込OK」と「試験時間の25%延長」という特別配慮をしてもらうことができましたので、少なくとも問題の意味はわかるかなと。(低レベルでスミマセン。でも、本当に怖かったんですよ。学校側からは、「これらの特典は与えるが、採点についてはJ.D.と同じ。」と言われていましたし。)

答案についても、手書きかPC利用かの選択がありました。今、思うと何で「手書き」を選んだのか不明なのですが、確かアジズ2号に強引に引っ張られたような気がします。「一緒に受けようよ。」と。何故って、次の春学期からはPC利用していましたし…。Deacon の試験に対する恐怖感も凄かったですが、アジズ2号もそれ以上のものがありました。彼は政府機関からの派遣生で、絶えず試験の結果は派遣元に送られるから良い成績を修めなくてはならないと言っていました。英語も(こう言っては失礼ですが)Deaconの“どんぐりの背比べ”的なところがありましたし、彼の心配はよくわかりました(他人事ではないんですがねぇ)。そんな妙な連帯意識が働いたのか、一緒に机を並べて受けることになりました。

試験時間はJ.D.で2時間。LL.M.は2時間30分だったでしょうか。まず問題が配布されます。もうこの時点で、汗で手はべとべと(^^;)。前日まで同級生のJ.D.と予想論点を勉強したりしましたが、ヨミが当たるかどうか…。「開始!」の合図でページをめくります。大きな問題が2問でそれぞれに小問が3問程度(具体的な内容は忘れてしまったんですが、基本的な論点だったと思います。それほどパニックになりませんでしたから)。ざっと問題文に目を通します。知らない単語も結構ありますが、大意は把握できましたし、論点も何とか複数見つけることができて、とりあえずはホッと一息。何とかなるかな?って感じでした。一方のアジズ2号と言えば、問題を読んで直ぐに舌打ちをしだし、そのうちに貧乏ゆすりが…。かなり苦戦しているようで、時折頭を抱えているじゃないですか。かく言うDeacon もアジズ2号の様子ばかりを気にする余裕など本来ないはずで、とにかくIFRAC(Legal Research & Writingで習った、事案をIssue・Fact・Rule・Apply・Conclusionに分解する方法)をベースに書きまくります。

1時間過ぎる頃には、もう答案を提出して退出するJ.D.も出てきはじめました。「うーん、どこの国にも見直しもせずに早々に提出するヤツがいるもんだ。」と勝手に思いつつ、少し焦燥を感じ始めます。どういう訳だが(勉強不足に過ぎないのですが)、書き始めたものの、どうも自信が持てない。沈思黙考してみると、何か間違っているのではないかとの疑問が強くなり、とうとう書いた答案を消して書き直す始末。それでも確信持てず、また書き直し…。こんなコトを繰り返しているうちに、とうとう教室にはDeacon とアジズ2号の二人だけとなってしまいました。結局タイムアップを宣告されるまで、書き続けて、最後は何とかピリオドで無理やり終わりにした感じで提出と相成りました。

すごい脱力感です。右手はもう上げられないほどの疲労感。「足が棒になる」なんていう表現がありましたが、その時のDeaconの右手は文字通り“棒”と化していました。麻痺した感じですね。アジズ2号と言えば、これまた「もうお手上げだ」というような表情で泣きそうな顔をしていました。お互い様でしたねぇ。暫くすると、二人とも思い出したように、「あの問題は○○だよね」などとレビューを始めていました。お互い、同じような解答をしたようですが、それが正解なのかはこの時点では闇の中…。二人で駐車場まで黙って歩いていき、そこで別れました。

Contracts I のR教授は、Deaconの指導教授が履修を薦めてくれただけあって、授業もわかり易く、またとても親切でした。生徒たちからの評判も上々で、LL.M.留学生(我々二人に加えて、グルジア人のケティも受講。因みに彼女はPCラボでのPC受験組でした)にも、アフター・フォローもしてくださるなど、とても良くしてくださいました。この学期末試験後にはクラス全員を自宅に招待してランチパーティーをアレンジしてくれました。Deacon も、試験終了後帰宅して、ワイフ殿を伴ってR教授の自宅に向かいました。Winston-Salemのダウンタウンから少し外れたところの閑静な住宅街にあるということで、地図を頼りに探します。そうすると、向こうからクラスメイトが連れ立ってやって来るじゃありませんか!みんなより30分延長してもらって、かつ自宅に戻った関係もあってか、ランチ・パーティが終わってしまったようなんですな。そうそう、アジズ2号は欠席です。彼は前にも話しましたが(その時のエントリはこちら)、敬虔なイスラム教徒で、授業が終わるとまっすぐに帰宅して家族と一緒に過ごしていました。従って、このような“オフ”の活動にはほとんど参加しませんでした。本音ベースでは「本当は留学するつもりなど全くなく、ただ、政府の命令だからここに来たんだ」と言っていたくらいですから。

クラスメイトは「あっ、Deacon。先生のうちはすぐそこだよ。でも、もうほとんど終わりだぜ。」と我々を見つけるなり声を掛けてくれました。「マジかよ…」と思いつつ、でも折角きたんだから、ご挨拶だけでもして、そうそう、試験のこともちょっと言っておかなくては、ということで、R教授宅の中に入って行きました。すると、確かに学生の姿はもうありませんでしたが、R教授はDeaconたちを暖かく迎えてくれました。中庭に案内してもらい、お手製のサンドウィッチや南部名物料理やデザートをご馳走になりました。そこに、高校生だという息子さんもジョインされて、4人でいろいろなことを話しました。NC州は時としてハリケーンに襲われることがあり、この家も過去に被害にあったことがあることや教授の学生時代のお話に始まり、我々からは日本のコト(文化や仕事、その他諸々)をお話しました。こうなるとワイフ殿の出番です。Deaconは最初こそ頑張って話していましたが、途中からは完全にワイフ殿に全権を委ねて、もっぱら食べる方に専念させてもらっていました。もちろん、最後には「先生、試験なんですが…。自分としてはベストを尽くしたのですが…。」とモジモジ君よろしく、もじもじと切り出しながら、「とにかく頑張りました(ので、宜ししくお願いします)!」と言うことは忘れませんでした(^^;)。R教授はニコニコして「大丈夫、大丈夫、心配しなくても。LL.M.留学生は良くやっていたと思っているから。」と言ってくれました。「Deacon は」ではなくて、「LL.M.留学生は」というところに、やや引っ掛かるものもありましたが、とりあえず「何とかなるか…な」ということで、1時間余りおしゃべりした後にお家を後にしました。

これで、何はともあれ秋学期の試験は終了です。試験結果はクリスマス休暇明けの新学期前に発表になるということでしたので、それまではもう試験のこと(まあ、結果ですな)は考えるのはよそうということにしました。ワイフ殿と二人車に乗って自宅アパートのゲートをくぐった時はすっかり真っ暗でしたが、心の中は「ようやく冬休みだ!」という明るい気持ちで一杯でした。次回は試験ではなくてレポート提出だった“Comparative Law”のことと、冬休み(正確には「クリスマス休暇」ですね)のことでもお話してみましょう。

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コメント

生々しい話に私も2年前を思い出しました。英語で受ける試験は確かに最初怖かったですね。その後あまりにも試験が続いて結果はさておきちょっと慣れてしまいましたが。それでも常に「そもそも問題文の意味が分かるかしらん?」という潜在的恐怖がつきまとっています。かくいう私は来る10月と11月とに大事な学校のテストが控えております。。。

投稿: fkitty | 2006/09/28 04:08

> fkittyさん
コメント、どうもです。「カロライナ・ブルー」を拝借いたしました。これって、今思うと「UNC」のスクールカラーから来ている表現だったり!?
だとしたら、ちょっと気持ち複雑だなぁ。愛校心が強すぎでしょうか(笑)。

10月場所と11月場所の試験、頑張ってくださいね!
あと「国際交流」の方も。身の危険が及ばない程度に(←冗句とも本気とも…)。

投稿: 管理人(Deacon) | 2006/09/28 13:04

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